肝臓がんの症状
肝臓がんの初期症状は自覚に乏しい
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肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ,大きな余力をもつ臓器です。そのため,肝臓の一部に障害が起こったり,肝臓がんとなったとしても,すぐに肝臓の機能に影響は現れません。
肝臓がこのような性質をもつため,たとえ肝臓の内部にがんが発生しても初期には患者にはほとんど自覚症状が現れません。
肝臓に複数の直径3〜5cm程度のがんが生じていても,それらが肝臓の内部にのみとどまっていて,神経のある肝臓の被膜に接したりしていなければ,多くの患者は自覚症状がありません。
したがって,肝臓がんの初期症状の多くはは肝炎や肝硬変によるものです。
肝臓がん患者の70〜80%は肝硬変を合併しているため,肝硬変の症状が,肝臓がんの最初の自覚症状となることが少なくありません。
初期に患者は倦怠感や食欲不振を訴えることがありますが,これを仕事が忙しいせいだとか,加齢によるものだと思いこみ見過ごしてしまうことも多いのです。
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がんの進行とともに,肝臓の機能が低下すると,黄疸や腹水がみられ,発熱,意識障害などが起こることがあります。
この肝臓がんは直径3cm程度になると急速に成長が早くなるという特徴があり,2〜3ヶ月で2倍になることもあります。そのため,症状が出はじめるころはがんはかなり進行しており,治療が困難なケースが多いと言えます。
肝臓は痛みを感じにくい臓器ですが,みぞおちや,みぞおちの右側,また右肩などに痛みを感じることがあります。
また,肝臓の腫瘍が増殖し,肝臓の皮膜まで到達すると,鈍い痛みや圧迫感が生じます。 上腹部やに不快感,膨満感,痛みを訴える患者もいます。
また,肝臓内部の線維化により,肝臓にごつごつしたこぶが生じ,医師も患者の腹部を触診することで線維化した肝臓を容易に発見できます。
患者自身も,自分で右上腹部またはみぞおち周辺を手指で押すと,硬い肝臓の一部を感じとれることかあります。
肝硬変の進行によって,クモ状血管腫,手掌紅斑,肝性昏睡(肝臓で処理されない血液中の有害物質が脳に侵入し,意識障害を引き起こす)などが現れます。
さらに肝硬変が進行すると、肝臓に入る大きな血管の1つである門脈に血液が流入しにくくなるため,肝臓内の血液の流れが悪くり,胃や食道の静脈がうっ血して静脈瘤ができます。
この状態が続くと,食道静脈から少しずつ出血したり,ときには大量出血(食道静脈瘤の破裂)を起こすことがあります。
これらはいずれも肝硬変の症状であり,このような症状から肝臓がんが発見された場合,がんはかなり進行していることが予想されます。
肝臓がんは自覚症状が乏しく,症状が出てから病院へ行っても,がんはかなり進行してしまっています。肝炎や肝硬変に罹患している患者は定期的な検査を受けておくことが大切です。
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●GOTとGPT数値の上昇
GOTとGPTは逸脱酵素といわれ,本来細胞内で働くものが何らかの理由で,血液中に流出した酵素です。
これらは,肝細胞が障害されて細胞が壊れるときに,血液中に流れ出てきます。この数値が高いと,多くの肝細胞が破壊されていることを意味するため,肝臓の炎症の程度をみる指標となります。
● 血小板の減少
血小板は,血管が損傷し,出血した際に,血を止めるために機能する血液中の細胞です。慢性肝炎が進行したり,肝硬変になると血液中の血小板の数は減少してきます。
血小板は肝硬変の指標となり,血液1o3あたり10万個(正常値は25万個以上)を切ると,肝硬変の可能性が高くなります。
また,肝硬変から肝臓がんになるとは限らず,血小板が12万個以下の場合,慢性肝炎でも肝臓がんが見られるようになります。
● 牌臓の腫大
慢性肝炎から肝硬変に移行する過程で,肝臓の機能の低下を補うため,牌臓が大きくなってきます。
牌臓は古くなった赤血球や血小板などの血液成分を処理する働きをしています。したがって,牌臓の働きが強くなると,血小板などの血液成分が破壊されるため,その数値が減少します。
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