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手術後の合併症 肝臓がんの治療
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肝臓がんの手術に限らず,大きな手術をした場合,それが原因となって病気が発生することがあります。
これを術後合併症といい,ある病気が原因で他の病気を併発した合併症とは区別する必要があります。 これは,医療ミスではなく,ある一定の割合で起こりうるものです。
手術後の合併症として出血,切除面から胆汁が漏れる胆汁漏(たんじゅうろう),肝不全などがあります。
これらの合併症は技術の進歩や,術後管理技術の進歩により,かなり減少してきています。現在では生命にかかわるような合併症はほとんどなくなっています。
現在,術後の肝不全は全国平均で約1%,手術による死亡率は全国平均で1〜2%程度で,日本の手術の技術は世界でもトップレベルといわれています。 |
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多くの患者は肝臓がんの場合,肝硬変を伴っていることが多く,手術の影響でもともと弱かった肝機能がさらに低下することがあります。
症状としては倦怠感,食欲不振,腹水,胸水,軽度の黄疸などが見られます。通常はこれらの症状は徐々に開腹していきます。
しかし,これらの症状がなかなか回復せず,さらに重い肝不全となることもあります。
肝不全とは肝臓の機能が極度に低下した状態をいいます。この状態になると黄疸,腹水,意識障害などの症状が出ます。
肝不全は,肝臓の手術後の合併症の中では,命にかかわるものであり,最も注意をしなければなりません。
術後の肝不全は,徐々に悪化する黄疸が特徴的で,黄疸の悪化とともに多臓器不全とつながることもあり,意識障害をきたします。
これは手術侵襲によるダメージや術中の出血量などが影響しています。
最近では,術前の正確な肝機能評価や系統的区域切除術など,技術の進歩によって,術後の肝不全が起こることはまれになり,全国平均で1パーセントにまで低下しています。
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胆汁漏は,肝臓の手術では比較的多い合併症です。
肝臓の中は血管や胆管が網の目のように走っています。肝細胞がつくった胆汁がこの胆管の中を流れて,腸管に流れていきます。
肝臓の切除を行う際には、切除断面の胆管を電気メスで焼いたり、糸で結んで閉鎖しますが、ときに肝切除断面から胆汁が漏れることがあります。これを胆汁漏といいます。
小さい漏れも含めると切除後役10パーセントの患者に生じます。しかし,たいていは自然に止まります。
胆汁漏は通常,自然に止まりますが,肝硬変などの場合には長く続いてしまうことかあり,2〜3パーセントの患者は止まらなくなります。 このような状態になると再手術が必要となります。
また,細菌が感染して発熱する場合もあります。胆汁漏は肝臓の手術後の合併症としては比較的頻度の高いものです。
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通常,肝臓を切除した後に,出血が止まっていることを確認してから,縫合しますが,その後に出血が起こることがあります。
肝臓はもともと血管が豊富にあるため,他の臓器よりも出血しやすいという点があり,さらに肝硬変を伴っていると血液が止まりにくい状態になっています。
このように切除した部分に後から出血が起こり止まらなくなると,再手術を行わなければならないことがあります。
しかし以前は5〜6パーセントの患者に,このような再手術がありましたが,切除技術の進歩により今はほとんどなくなり,術後出血で再手術する患者は1パーセント以下といわれています。
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前述の胆汁漏があると,これに細菌が感染しやすくなり,発熱と共に腹腔内に膿がたまります。 これが腹腔内膿瘍です。
また,まれに肝臓の血液の流れが手術の影響で悪くなり,その部分の肝臓が死んでしまい,そこに細菌が感染することで膿となることもあります。
腹腔内膿瘍の対策として,抗生剤の投与を行い,さらに腹部超音波検査で膿の場所を確認し,細い管(ドレーン)で体外に膿の排出を行います。
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腹水は肝臓がんの症状としてはしばしば見られるものです。手術後肝機能が低下すると,肝臓でつくられるタンパク質の一腫(アルブミン)の生産が減り,血液の浸透圧の関係で血管から水分が漏れだして,腹部にたまってしまうのです。
肝臓の手術後はだれでも一時は肝機能が低下しますが,通常は徐々に回復してきます。
ところが,もともと肝硬変などで肝機能が低下していた場合,なかなか回復しないことがあり,腹水がたまることがあります。
対策としては利尿剤を投与して,腹水が尿として排出されやすいようにします。それでも効果のない場合は,腹部に針を刺して,腹水を一部抜きます。
この場合腹水には栄養分や免疫細胞が含まれているので,多量に抜くことは体力の消耗などを招くことになり,少量ずつ抜き取ります。
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